たった4人のオーディオメーカー

Bottle and Lemon

日本のオーディオメーカーはほとんどが資本金数百億円以上の大会社か、さらに大きな会社のオーディオ部門で、それぞれオーディオ部門だけでも数百人が働いていましたが、世界にはガレージメーカーという、数人でオリジナル商品(主にスピーカー)を作っているメーカーが沢山ありました。
ヨーロッパ。特にドイツなどはこういった地元の人しか知らないようなブランドの数人のメーカーが多く、又これらのガレージメーカー向けの高級木工キャビネット専門会社や高級スピーカーユニット会社などが存在し、ある意味全体が分業化されていました。 
木工キャビネットは1台何千万円もする木工機械を何台も使う、ほとんど装置産業のようなもので、スピーカーユニットも良いものを開発するには無響室や高額な測定器類など非常にお金がかかります。
しかし最終組み立てはネジ締めだけなので、たいした設備もいらず、数人で済んでしまいます。
ただ、アンプや高周波の入るチューナー、特にデジタルやメカ部品の入るCDプレーヤーなどは設計や製造の難易度が高く、部品点数も多いので、それなりの品質体制も必要で、大会社が圧倒的に有利でした。

日本も部品はそれぞれ部品会社が存在し大会社に納めていましたが、最終商品は大会社が作るので、日本はアンプやCDなどのエレクトロニクスが強かったのだと思います。 一方スピーカーなどはどうしてもこういった大会社の組織に縛られるので、自由度の高い欧米の会社が有利でした。
日本のメーカーと付き合った経験のある欧米のスピーカーエンジニアが、”日本のスピーカーエンジニアはみんな我々よりはるかに優秀で何でも知っているのに、なんで良いスピーカーが出来ないのかと不思議がっていましたが、この辺が本当の理由のような気がします。

そんな中で、北欧のたった4人の会社なのに、スピーカーのみならず単品アンプやCDプレーヤーなど非常に多くのラインナップを揃え、世界中に販売している会社がありました。 アクティブサブウーファーなどにパテントを持ち。レベルの高い商品を作っていました。 中国のスピーカー工場でこのメーカーの社長、エンジニア、デザイナー、セールスの4人と会ったのですが、会社はこの4人だけだと言いうのです。製造は外注ですが、アフターサービスはどうするのか聞いたらこれらもすべて外注との事です。
日本メーカーで育った私にはこういった会社の存在があるのかと目からうろこでした。日本のメーカーが数百人で作っているオーディオを僅か4人でオペレーションしているのですから。 もちろん最新のデジタル化に対応するのは大変でしょうが、いまではこれらは中国や香港、台湾の力を借りればある程度対応できてしまいます。

こんなわけで、私にとってはビジネスの師匠のような会社でしたし、オーディオハート(株)の設立とチェアスピーカーの商品化にとって、大いに参考になりました。

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